13歳の女優、谷花音さんと考える不登校の今
こんにちは。岩崎書店ブログ管理人の大塚芙美恵です。
いきなりですが、みなさんは子ども時代に、ひとりぼっちのクラスメイトがいたら、どのような行動をとっていたでしょうか?
また、いじめられている友達がいたら、どのように接していましたか?
今年の2月に、岩崎書店から発売された『わたしはヴァネッサと歩く』という絵本。副題が「クラスのいじめを止めさせた、たった一つの行動」とあるように、ひとりぼっちの転校生ヴァネッサに、主人公が手を差し伸べることにより、学校中の子どもたちの心を動かしていくという物語になっています。
この絵本を読んで、今、いじめや不登校に直面している子どもたちは何を感じるのか。
今回は特別に、絵本にコメントを寄せてくれた、女優の谷花音さんに、岩崎書店CEOの岩崎夏海とインタビューをしてきました。
わたしはヴァネッサと歩く クラスのいじめを止めさせた、たった一つの行動
- 作者: ケラスコエット
- 出版社/メーカー: 岩崎書店
- 発売日: 2018/02/08
- メディア: 単行本
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谷花音さんは3歳から子役として、映画、ドラマ、CMなどでご活躍されています。「全開ガール」や「名前をなくした女神」といったドラマでの泣きの演技に、感動させられた方も多いはず。現在は中学1年生の13歳、舞台や声優にも挑戦され、幅広い活躍をされています。
谷 花音(たに かのん)
女優。2004年5月4日生まれ、埼玉県出身。A型。2011年、ドラマ『名前をなくした女神』で、名演技を披露し注目を集め、映画、CMなどでも活躍。
芸歴11年、中学1年生の花音さんの目指す演技とは?
岩崎書店CEO 岩崎夏海(以下 岩) 今日はよろしくお願いします。
谷花音さん(以下 谷) よろしくお願いします。
岩 花音さんは今何年生ですか?
谷 中学1年生です。
岩 芸歴はどのくらいですか?
谷 3歳からお仕事をしているので、11年目です。長いですね。でも、あっという間でした。
岩 11年は長いですね。そういった意味で、花音さんは普通の人とちょっと違った子ども時代を送っているわけなんですが、学校とお仕事の両立は大変じゃないですか?
谷 小学校の頃は、大変とか、疲れたということはなかったですね。でもやっぱり中学校に入ると、定期テストがあったりして、毎日が忙しくて、時間が足りないです。
岩 やはりそうですか。勉強は、大変ですか?
谷 はい、大変です。中学校に入って、急に勉強する内容がガラッと変わったり、難しくなったりしたので。でももうすぐ中学に入って一年が経つので、段々と勉強の仕方がわかってきました。
(左)岩崎書店CEO 岩崎夏海 (右)谷花音さん
岩 好きな科目や嫌いな科目はありますか?
谷 好きな科目は理科で、実験があるとすごく嬉しいです。あとは「技術」という教科があって、パソコンのことを勉強するんですが、すごく楽しいです。
岩 パソコンがお好きなんですか?
谷 はい、パソコン好きです。自分でデジタル教科書みたいなものを作るのがすごく好きで、小学校2年生の妹に教科書をかりて、問題を自分で打ち込んで、字体を選んで、写真を引っ張ってきて作っています。
岩 へー、そうなんですね。嫌いな科目は?
谷 嫌いというか、苦手だなというのは、社会です。小学校よりも、習うことが細かくなってきて、なんとかの乱とか、誰と誰が戦ったとか、そういうのがごちゃごちゃになってきちゃって。早いうちに復習しなきゃなと思っても、後回しにしてしまってますね。苦戦してます。
岩 花音さんは、学校の勉強だけでなく、映画の勉強もされているわけですよね。
谷 はい。DVDを借りて観たり、小学校のときは、映画館によく行っていましたね。
岩 例えばどういう映画を勉強のために観ていますか?
谷 あー、でも基本的に、面白そうだなと思う映画を観て、その中でも、この俳優さんすごいなとか、この女優さん、こんなこともできるんだというギャップの違いをみています。とにかく自分が観たい映画を観ているという感じですね。
岩 最近面白かった映画はありますか?
谷 「怒り」ですね。殺人犯の話しなんですけど、出演しているみなさんがすごく上手で、圧倒されました。ある役者さんは、以前観たドラマではふざけた役をやっていたのに、この映画ではすごく真剣な役をやっていてすごいなと思いました。
岩 花音さんも、そういう幅の広いを演技をしたいと思いますか?
谷 そうですね。一方のドラマでは優等生、一方のドラマではふざけた役といった幅広い演技をできるようになったらいいなと思います。
岩 花音さんが憧れる、幅の広い演技をされる俳優さんはいますか?
谷 あー、沢山いらっしゃるので、難しいですね。
谷 その中でも、渡辺謙さんと、遠藤憲一さんが好きです。遠藤憲一さんは、初めてみた作品が少し抜けている役だったので、怖い役をやられているのを見たときに、すごいなと思いました。
岩 なるほど。面白いですね。花音さんは、自分が色々と成長していきたいという気持ちが強いように思いますがいかがですか?
谷 そうですね。色んなことを体験できたらいいなと思っています。例えば今度の春休みに、短期留学に行く予定です。中学に入って、英語に触れることが多くなる中で、英語を喋れたらすごくかっこいいなと思い、行ってみることにしました。違う国の文化に触れられるのも楽しみです。
岩 渡辺謙さんも、英語で外国の映画に出ていてすごいですよね。花音さんもいつかは海外の映画に出ることもあるかもしれませんね。演技はこの先も、続けていきたいですか?
谷 はい。演技というものにせっかく出会えたし、いろんな方にも出会えて、いろんな経験もさせていただいたので、続けられたらいいなと思います。
岩 なるほど。例えば女優の他に興味のある職業はありますか?
谷 そうですね……、小さい頃から将来の夢はヘアメイクさんになりたいと思っていて、それもこのお仕事をやっていたから知った職業かもしれないんですけど。人を綺麗にさせるというのは、すごい素敵だなと思って。私は、髪の毛をセットするのがすごく好きなんですが、プロのヘアメイクさんの技は、身近で観ててやっぱりすごいんですよね。それで、ずっと前からヘアメイクさんになりたいと思っています。
すごくおせっかいなんです、花音さんの友達との付き合い方
岩 花音さんは、学校は好きですか?
谷 好きですね。夏休みとかの長い休みは、「やったー」とはなりますけど、学校がないと会えない友達もいるので、やっぱり行きたいなと思いますね。
岩 そうなんですね。今、友達を上手く作れない子どもが多くて、岩崎書店でも、「友達をつくる本」というのがすごく沢山作られています。花音さんは友達をつくるのに、悩んだことはありますか?
谷 うーん、あまりないですね。昔から、土日も幼稚園に行きたがるぐらい友達と遊ぶのが好きで、今も学校がお休みの日に、学校の友達や幼稚園の友達とかと一緒にごはんをすることもあります。だから学校行きたくないなとか、中学に入って友達できないとかはなかったですね。
岩 花音さんは、なんでお友達を作るのが上手なんですかね?
谷 なんでなんでしょう。
岩 お母さんが上手に教えてくれたとか?
谷 うーん、友達と一緒にいると楽しいじゃないですか。話しをするとすごい楽しい。なので、楽しさを求めて自らどんどん声を掛けているんでしょうね。話し掛ける恥ずかしさよりも、楽しさが勝っちゃってるんだと思います。
岩 それでは友達と喧嘩して、失敗しちゃったなーと思うことはないですか?
谷 そうですね、ないですね。あまり私が「わーっ」と言うタイプではなく、ほんとに楽しいことだけをやりたいと思っているんですよね。喧嘩して関係が良くなるということもありますが、普段から仲良ければ、「それでいいじゃん」って思います。もともとあまり細かいことを気にしないタイプなので。
岩 なるほど。基本的には仲良く楽しくやろうよと思っていて、楽しいことや冗談を言い合ったりするのが好きなんですね。
谷 そうですね。でも友達が落ち込んで、下向いちゃってるときは、すごくおせっかいを焼きたくなっちゃいます。「どうしたの?一緒にやろうよ」って声を掛けたりとか、たぶん相手からしたら、うざいと思われてるかもしれないんですけど(笑)
岩 では偶然とはいえ、この絵本『わたしはヴァネッサと歩く』の主人公と似ているところがありますね。
谷 そうですね。
『わたしはヴァネッサと歩くークラスのいじめを止めさせた、たった一つの行動』は、岩崎書店から今年の2月に発売された絵本です。
ひとりぼっちの転校生ヴァネッサに主人公が手を差し伸べることによって、学校中を動かすことになるという物語です。
ヴァネッサという少女が転校してきました。
いつもひとりぼっちで居るヴァネッサのことが気にかかる主人公の少女。
ある日少女は、ヴァネッサが男の子にいじめられている所を目撃します。
このままでいいの?
でも何をしてあげたらいいのか、わかんないよ……。
悩んだ少女は、朝、思い切ってヴァネッサの家へ迎えに行きました。
大きなことはできないけれど、一緒に歩くことぐらいなら自分ひとりでもできるから。
この絵本には、文章がありません。
けれど絵本の中に込められたメッセージは、文字がなくとも絵から十分伝わって来ます。
「たとえ小さな勇気や行動でも、コミュニティ全体に影響し、みんなを動かすことができるんだ」
少女の勇気ある小さな行動は、やがて周りを動かします。セリフや心情を自分なりに考え、自然と想像力を働かされます。
岩 花音さんは、『わたしはヴァネッサと歩く』のヴァネッサみたいに、ひとりぼっちな子がいたらどうしますか?
谷 すぐに話し掛けますね。毎日話し掛けていくと、だんだん相手が好きなものとか、今まで知らなかったことが、わかっていくんですよね。
岩 例えば話しかけた相手に、意外な魅力があることもありますか?
谷 はい。すごく絵が上手だったりとか、運動神経がよかったりとか、そういうのがわかると、また話しが広がっていきます。運動神経の良い子だったら、今度走り方教えてよとか、ぐいぐい話していけますね。そうすると、「花音ちゃんおはよう」と声をかけてくれるようになったりして、すごく嬉しいです。
岩 素晴らしいですね。絵本の中で、ヴァネッサはいじめられてしまっているんですが、花音さんの学校でも、いじめが問題になったことはありましたか?
谷 いじめかどうかはわからないんですけど、学校に来られない子が沢山いますね。でも、あまり無神経に関わってしまって、もっと学校に来られなくなったら申し訳ないというか、そうなったらすごく嫌だなと思います。私の友達にも、学校に来ていない女の子がいて、たまにごはんを一緒に食べに行くんですけど、そういうときに学校の話は、なかなかできないですね。
岩 そうなんですね。
谷 その子から学校のことを話してこないので、やっぱりそういう話しは嫌なのかなと、あまりしないようにしてますね。
岩 その子に不登校になった原因について聞いたことはありますか?
谷 ないですね。他の友達と、なんでこないんだろうねという話しになったことはあります。中学に入って、最初の方はすごい楽しそうにしていたので。
岩 何かわかりやすいきっかけが、あったわけでもないんですね。
谷 そうですね。やっぱりその子によって性格が違うので、わりと私は、何か「ばーっ」といわれても「まぁ大丈夫でしょ」って気にしないタイプなんですけど、もしかしたらその子は、気にしちゃうタイプかもしれないのかなって。でもそういうことを言われているのをみたことなかったので、なんでだろうって。心配です。
岩 そうですね。もしかしたら、その子もわかってないし、大人にもわからないからみんな悩んでいるところはあるんでしょうね。
谷 でもたまにごはんを食べたり、一緒に遊んでくれて、元気がいいのを確認できるのでまだ安心できます。
岩 そのお友達も花音さんがいてくれて助かってると思います。人間は、社会との繋がりが絶たれちゃうと、生きている意味がわからなくなっちゃって、すごく悩むんですよね。私は、最近不登校の子が多いのは、みんな色んなことを気にしやすい、というところも関係しているのかなと思います。小さい頃から、「相手の気持ちを気遣って生きよう」ということを、周囲の人や先生からすごく言われるのではないかと。そうなると、喧嘩をしたときに、相手を傷つけちゃったのかなと思って、そこから自分を責めちゃったりしてね。それだったら交流するのは辞めようと、思ってしまうこともあるのかなと。失敗が怖いというか。でも本当は失敗してもいいんだ、上手くいかなくてもいいんだ、ということを教えてあげるほうが、僕はいいと思ってるんですけど。でもあまりそういうことを言う人はいないですよね。
谷 いないですね。相手の気持ちってわかる部分もあるんですけど、完全に100%わかるわけではないですよね。本人に聞かないとわからないことも多いので、あまり言い過ぎてもいいのかなっていうのは思いますね。
岩 そこは結構、気を使いますか。
谷 そうですね。もしも相手がもっと学校に行きたくなくなったり、友達なんていらないってなってしまったら、その時点で友達の大切さをわからないままになってしまいます。人によって感じ方は違うから、取り敢えず今は一緒に遊んだり、ごはん食べて楽しんでいます。そうしたら、いつか、もしかすると、学校に来たらもっと楽しいかもって思ってもらえる日が来るかなと思って、その子と一緒にいます。
岩 普段、学校の友達から悩み相談をうけたことはありますか?
谷 相談はたまにうけます。相談?っていうのかな…愚痴こぼしを聞きます。
岩 やはり人間関係の悩みが多いんですかね。
谷 そうですね。勉強よりも人間関係の悩みのほうが多いですね。
花音さんと不登校について考える
岩 花音さんは本や絵本は読みますか?
谷 読みます。
岩 好きな本はありますか?
谷 うーん、なんだろう……。小説でも、短編集が好きで、学校で10分くらいの読書時間があるんですけど、短いお話を毎日一話ずつ読んでいくのが好きですね。物語のジャンルでいうと、友情の話が好きです。
岩 お話を聞いていると、花音さんは考えることが得意だし、好きなんだなというのを感じます。物事をいろいろ深く考えている印象がありますね。
谷 そうかもしれません。考えるところは、とことん考えますね
岩 観察して、なんでこうなっているのか、ということを考えているように思えます
谷 はい、そういうことを考えるのは、好きですね。幼稚園の頃からおせっかいがすごく好きで、人を観察してこの人はこう考えてるのか、それともこうなのかなとか、相手の何かを考えることが好きです。
岩 だから今回『わたしはヴァネッサと歩く』の発売に向けてコメントを頂いたときも、読んだ印象だけで語るのではなく、良い面と悪い面を両方捉えていますよね。つまりは、いじめは絶対によくないよねという単純なことではなくて、いじめというものがもしあったとしたら、どうしたらいいかというところまで考えられていて、すごく深いコメントをくださいました。
谷花音さんからのコメント
普通の絵本には文章があるけれど、この絵本には文章が書かれていません。
描かれている絵の表情などを見て自分でセリフを考え、自分で物語を進めていくことが
できます。
この本を読んでみて私なりに感じたのは、いじめられる子もその周りの子もとてもつらいので、いじめなんて本当になくなればいいのになということです。でも、それは中学生の私が感じたことで、読む人の年齢が変われば、また違う物語に変わるのだと思います。
たとえば、5歳くらいのときに読んだら、かわいそうだなぐらいにしか感じなかったことが、8歳くらいになったときに読んでみると、相手の気持ちを考えられるようになり、色々なセリフが付けたされていく……そんな面白い本だと思いました。
みんな本当は助けてあげたいのに、勇気がないから目をそらしてしまう……。
もし身近でいじめが起こったら、私も物語の女の子のように勇気を出して友だちを助けられるような人、そしていじめをやめさせられるような人になりたいと改めて思いました。 イラストもとってもかわいくて、幼児から小学生まで、何度も何度も読みたくなる長く愛される絵本になると思います。
パパやママもぜひ一緒に読んでほしいです。
岩 不登校の問題は、普段から考えていることだったんですか?
谷 はい。学校に来られない子のほぼ全員は、入学して1ヶ月後の5月から来てないんです。クラスの子の間でも、あの子何かあったのかな、なんで来ないんだろうねと心配しています。
岩 今、全国で不登校の子どもたちが多くて、それをどうやって解決したらいいかというのはすごく大きな問題なんですよね。だから岩崎書店では、友達との付き合い方の本も出していますし、『わたしはヴァネッサと歩く』も、その問題が解決されたらいいな、という気持ちで出版しています。
友達付き合いの本も多く出版されています。
岩 しかし、ひとつ難しいのは、不登校というのは実に新しい問題で、大人達や学校の先生も、どうしたらいいのかよくわかってないんですよね。だからもしかしたら大人たちよりも、花音さんみたいに同世代の子の方が、どうしたらいいかわかっているんじゃないかなと思うところもあります。また、他の要因としても、教育制度は明治維新の頃に決まった古いものが未だに残っていて、世の中が変わっているのに、学校が変わっていないから、問題が起きているのかなと思うところがあります。花音さんは、学校のここが古臭くさいなとか、ちょっとおかしいんじゃないかな、というところはありますか?
谷 私はそこまで深く気にしているわけではないんですけど、校則が厳しい学校で、女の子だと前髪がちょっと眉毛にかかっただけでも駄目で、ピンでとめないといけないんですよね。
岩 まゆげにかかっただけでアウトなんですね(笑)
谷 はい。スカートは膝下5センチで決まっていたり、結構細かく決められていて、毎週水曜日にチェックされるんです。そうなると、ちょっとぐらいいいじゃんって思うときもありますね。あとは、小学校のときに思ってたんですけど、シャーペンとボールペンを持ってきちゃ駄目だったんです。鉛筆の方がシャーペンよりも字が綺麗になるというわけでもないのに、なぜ駄目なんだろうって、それはほんとに自分の中でも疑問でした。先生に質問したこともあって、なんで駄目なんですかって聞いたら、「これは大人の事情なんだよ」って言われて。
岩 (笑)
谷 おーそうなんだみたいな。でも、中学に上がったら、シャーペンを持ってきていいよって言われて。あれはほんとに何だったんだろうって今でも思います。
岩 たしかにそれは不思議ですよね(笑)。花音さんは、色んな言葉を知っていて、表現がうまいですよね。
谷 そうですか? ありがとうございます。でも、それもこのお仕事をやっている影響だと思います。台本で学んだ言葉が、数え切れないほどありますね。あとは台本以外でも、色んな本を読んでいると、面白い表現って沢山あるじゃないですか? そういう言い回しを、作文に書けたらすごくかっこいいなと思うこともあります。
岩 たしかにそう思うときもありますよね。
谷 はい。そういう覚えた言葉の表現を、この絵本の台詞としてあててみるのもいいなと思いました。
岩 それでは最後に、この絵本のおすすめを教えてください。
谷 はい。この絵本の特徴は、文章がなくて絵だけで物語が描かれているというところです。その分、自分でいろいろな物語を作ることができて、きっと何個も何個も台詞が浮かんでくると思います。「もしかしたら主人公がこう言っているかもしれない」、「顔は喜んでいるけど、もしかしたら心の中では悲しんでいるのかな」、といったことを考えられる絵本だなと思いました。
岩 なるほど。想像力が膨らむということですね。この絵本を読んで、いろいろ考えるきっかけになりそうですね。
谷 そうですね。この絵本を読んでから、いろいろな人を見ると、「もしかしてこの人ってこう思っているのかな」、というのを表情から読み取ることができるのではないかなと思いました。中身が絵だけで、文章がない分、小さな子でもわかりやすいと思います。
さいごに
谷花音さんにお会いして、とても印象的だったのが、周りの人たちの気持ちを明るくさせる力があるということです。その明るさの原動力は、みんなで楽しく過ごそうという、周りを思いやる気持ちや、自己の成長を楽しむ姿勢からあらわれているのではないかと思いました。
今を生きる子どもにとって、日常的な問題であるいじめや不登校。クラスメイトたちも、不登校の原因がわからないなかで、相手の気持ちを尊重しながら、寄り添って過ごしていることがわかりました。
ひとりぼっちだったヴァネッサが、友人のひとつの行動をきっかけに、周りと馴染んでいったように、辛い思いをしている子も、その周りの子たちも、晴れやかな気持ちで、学校生活を送ることができればと思います。
それでは最後までお読みいただきありがとうございました。
岩崎書店の絵本を読んでくれています!
投稿者:大塚芙美恵