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児童虐待5

たくさんの反響をいただいた児童虐待の「その5」。
小児脳神経外科医の藤原一枝先生の投稿です。

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藤原一枝

藤原QOL研究所 代表

元・東京都立墨東病院脳神経外科医長

愛媛県松山市生まれ。岡山大学医学部卒業後、日赤中央病院(現・日赤医療センター)小児科・国立小児病院(現・成育医療センター)小児神経科を経て、1974年から東京都立墨東病院脳神経外科勤務。1999年藤原QOL研究所設立。2012年からの中学1,2年の武道必修化に対し、青少年の柔道事故死の中に脳振盪軽視があることを分析し、警告を発した。国際的なスポーツ脳振盪評価ツール(SCAT)を翻訳し、公開している。

出版物は「まほうの夏」「雪のかえりみち」(共に岩崎書店)など児童書のほかに「おしゃべりな診察室」「医者も驚く病気の話」「堺O-157 カイワレはこうして犯人にされた!」など。

児童相談所の見識を問う!
怠慢と横暴と勘違いが許されていいのか!!
施設で子どもは守られているのか?

児童虐待が許せないことは、まちがいのないことです。悲惨な事故を報じるマスコミの報道のあとには、必ず児童の身を案じる声が上がり、担当部署である児童相談所の職務内容が取りざたされます。

「役所は、何をしていたのか?」と。

そして、児童相談所の人員増加と権限強化の声が上がります。

しかし、ここで考慮すべき、三つの視点があると思います。
①児童相談所の存在意義と、役所に任せて、自分たち市民は何も痛痒を感じないことへの考察
②児童相談所職員の構成と人員数、そして、その質
③冤罪の発生
のことです。今回は③について考えます。

冤罪が起こる背景――無責任の連鎖

役所は「仕事をこなす」ことを命題にしますが、「判断の根拠」を疑うことはないのでしょうか。

今回、問題になっている点は、「病院では1%でも虐待の可能性があれば、児童相談所に通告する義務がある」ところから始まります。

そして、病院はその子がどうなったとかは全く気にしません。病院はほかの用事で忙しいからです。「児童相談所が、虐待か否かを判断するのだから」です(それも無責任ですね)。

ところが、児童相談所の側に立つと、「病院が通告してきているのだから、そうだろう」と思い込み、ほかの可能性を考えて悩む必要を感じていません。

誰もが、「“見逃し”は児童に申し訳ないだけでなく、社会から非難されるから自分たちがコワイ」ことが最大課題です。

病院も児童相談所も、自分たちの頭で判断せず、責任を逃れるために、網を大きく掛けます。そうでない人(例)の混入を排除する“精度”の概念を気にしていません。

 

そこには、「虐待をしていない人が、こんな目に遭ってもいいのか?」という発想はないのです。「虐待ではない」と主張しても、「客観的な証拠(第三者たる目撃者の存在)がない」と疑われ、強権的に親子分離され、その行政処分を取り消すには、「児童相談所の言うままにふるまう(服従)」しか方法がないのです。

言うまでもありませんが、家庭内の事故の場合に、母子や両親以外に目撃者がいることは稀なのです。

児童相談所の手口――冤罪であろうとなかろうと

虐待の環境の調査の目的で、「一時保護」の処分が下されますが、では、その調査は速やかに行われるものでしょうか?

大方の保護者の感覚として、2、3日なら我慢もできますが、法的に定まった最大期限2か月に甘んじて、調査が1週間以上たってから開始されているものが多いようです。

しかも一方で「児童相談所は、虐待か虐待でないかは判断しない」と言い、「一時保護」した家族には、結論は告げられないまま、グレーの扱いが続き、その後の説明もないというのは納得できません(現在は、病院の通告は、児童相談所と警察に同時になされているのが通例です。警察の調査がない場合も、通告の記録は残ったままです)。

児童相談所の血も涙もない親子の処遇

一時保護は親子を分離する行政処分です。

親の行動は制限されませんが、「チャイルドファースト」のうたい文句で、子どもの安全が優先されます。

その親に対する処遇の判断権者は、児童相談所所長だけです。日本には、現在、211人しか権限者はいません。
彼らが行っている、親に対する処遇は、
①子どもの収容先を明らかにしないこと
②面会を許可しないこと(される例もあるが)
③子どもの状態がわかるのは、児童相談所からの日中の電話連絡のみ(直接の保護施設からではない)
④土日祝日、夜間は、連絡不能
⑤子どもの病気の際も、「命に別状なき時は面会不能」
です。

赤ちゃんはたとえ大事に育てられていたとしても、見知らぬ職員たちに、大パニックを起こしていることは想像に難くありません。

何のための長期収容でしょうか?

誰のための収容でしょうか?

2018年4、5月の出来事

この8月に出版した拙著の感想の多くは、「わが身にも起こりうることとして、虐待冤罪の実態に驚きました」という内容でした。

さて、読者から、「今年、自分の孫がこんな目に遭った」という連絡が9月26日、私のところに入りました。

すでに公文書開示もし、「家族はみな同じ思い」だそうです。

その経緯をマンガにしてみました。

児童相談所の扱いは、「人間的でない」「思考停止状態」だと思いませんか?

まずは、このマンガをお読みください。

イラスト/漆原冬児 ©藤原QOL研究所