73歳の絵本作家が変化しつづけるワケ〜同じことをしていると飽きちゃうんです〜
岩崎書店から出ている絵本『イモリくん ヤモリくん』が、第22回日本絵本賞を受賞いたしました!
第22回日本絵本賞表彰式にて 松岡達英先生(左)岩崎書店編集部の石川雄一(右)
それを記念して、作者の松岡達英先生にお話をうかがってきましたので、授賞式の様子と合わせてお届けいたします。
松岡先生は、70歳を越えた今でも旺盛な好奇心で、その生活は発見の連続!
今回の『イモリくん ヤモリくん』にも、その闊達なフィールドワークの成果が反映されているのだそう。
それでは早速、ご覧ください!
(インタビュアー:岩崎夏海)
■同じ絵を描くことに麻痺
——『イモリくん ヤモリくん』はどういうきっかけから生まれた作品なんですか?
松岡 僕の長岡(新潟県)のアトリエの周りには自然がたくさんあって、そこに誰が行っても生き物が採れてしまうような池があるんですよ。子どもにも全然すれてなくて(警戒心がなくて)。その周りでしょっちゅう採集したり遊んだりしてるんで。
その池には、両生類がたくさん棲んでいるんですよ。イモリとかカエルとかサンショウウオとか。それで、両生類を主人公にしようと思ったんだけど、ただその池だけの話にするとつまらないんで、「イモリ」と「ヤモリ」って、すごい言葉が似てるでしょう?
——そうですね。
松岡 それを、子どもたちはしっかり理解してるだろうかと。母親だってほとんど意識してないだろうし。両生類というのはものすごく歴史が古いんですね。人間なんかよりズーッと古くて、最初に陸に上がってきたのは両生類で、その後にズーッと経ってから爬虫類が出てきたんですね。
——爬虫類の方が後なんですね。
松岡 そう、めちゃくちゃ後ですね。だからそこに面白さがあるんで、いつか本にしたいなと思っていた。そんなとき、ちょうど石川さん(岩崎書店の編集者)にお会いして、そのようなことをちょっとつぶやいたんだよね。そうしたら、それをぜひ描いてくれって話になって。
——なるほど。そこで内容についても話されたんですか?
松岡 ぼくはこれまで、動物の本だとリアルとかスーパーリアルみたいなものをずっと描いてきて、それならすぐ描けるんだけど、ただもうそういうのを描くのは麻痺してて。
——麻痺ですか?
松岡 僕の特質というか性質というかね、繰り返しが嫌いなんですよ。だから、そういうのはもう描きたくないって思ったんです。そこで、内容はもうちょっとファンタジックなものにして、技法は手軽に描けるものはないだろうかと思って。
——新しいことに挑戦されようとしたんですね。
松岡 常に新しいものをやってくのが好きなんで、新しい技術とか他の人の作品なんか見ながら、これどうして描いてるんだろう、これやってみたい、とかそういうのをいつも試みてて。何回か試みるんだけど、成功率が50パーセントくらいで。
——こういう「マンガチック」といったら語弊があるかもしれないですが、キャラクタライズされた作品というのは、初めてお描きになったんですか?
松岡 気持ちの中ではずっと描きたいって思ってたんですけど、つい(本物を)ものすごく知ってるから、それを描こうとしちゃうんですよね。
——ウソが描けないというか。
松岡 だから、他の作家のすっ飛んだ絵なんか見ると、憧れをもって。僕もいつかやってみたいと思って。「技法は色鉛筆だろうか」とか「パステルだろうか」とかいろいろ考えて、それを全部取り入れるっていうことも難しいんだけど、いろいろ試してみたんです。そうしたら、今回は比較的上手く取り入れられて、いい具合にできあがった本ですね。
松岡達英先生(右)岩崎書店代表取締役の岩崎夏海(左)
——『イモリくん ヤモリくん』は、絵もさることながら、お話もかなり「すっ飛んだ」ものになっていますよね。
松岡 僕の場合は、文章書いてる人じゃないんで。絵を描きながら、文章を少し進めていく感じでお話を作りました。あとは編集者の力って感じですね。まぁ、だからなるべく文章少なく楽したいなって。
——そうですか。絵を描くほうが大変なような気がしますけど。
松岡 絵は野球見ながらでもかけますから。最近も高校野球見ながら描いてます。
——そうなんですね! ところで、このヤモリくんがつけているメガネっていうかサングラスは、どういう発想から?
松岡 あれはね、エスキモーのサングラスから生まれたんですよ。エスキモーのサングラスというのは、機能としては細いスリットが入っているだけでしょ。でも、あれで結構光を遮断しつつ、見るとちゃんと見えるんですよね。
——そうなんですか! 初めて知りました。でも、ヤモリがサングラスをするというすっ飛んだ内容でありながら、ところどころ「夜行性」とか「水が苦手」とか、リアルな話も出てきますよね。
松岡 そういうところで、科学的な表現をしてるんですよ。僕の中では、そういうリアルな話からは逃げられないところがあるんです。でも、それでいいと思ってるんですよ。僕の調味料みたいな感じですね。
■両生類はすごい!
——『イモリくん ヤモリくん』というタイトルなんですけど、主役はイモリくんですよね。これはやっぱり、両生類の方に思い入れがあるからなんですか?
松岡 いえ、特にそういうわけではないんです。それぞれすごい魅力的だし。特にヤモリなんかは天井に貼り付くでしょう。なぜヤモリは天井に貼り付けるかご存じですか?
——吸盤がついてるとか?
松岡 いえ、毛なんですよね。細い細かい毛があって、引っ掛けてるわけですね。マジックテープと同じですね。
——へえ!
松岡 それと、どっちかっていえばヤモリの方が人間に利用されてて、東南アジアじゃお酒の中に入れたり。
——そうなんですか!
松岡 向こうではヤモリのことを「ゲッコー」っていうんですよ。それから「トッケイヤモリ」ていうのがいてね。インドネシアなんかのリゾートホテル行くと、夜、街灯のところに白地に赤のまだらな点がついてるわけ。それで「トッケイ、トッケイ」って鳴いてる。
——名前が鳴き声なんですね。
松岡 すごくかわいいですよ。
——イモリとヤモリっていうのは、生物学的には関係がないんですか?
松岡 全然。
——関係ないんですね。
松岡 両生類と爬虫類だからね。だけどやっぱり、両生類はすごいよね。子どものときエラ呼吸してね、それで陸に上がってきたときに肺呼吸でしょう。それは、生物が海から陸に上がってきた過程そのものですよ。
——今でも両方やっているわけですね。文字通り。
松岡 ほとんどの生き物は、陸に上がってきた状態で固定しちゃうんだけど、両生類だけは両方やってる。子どものときは水の中の方が敵にやられないし、大人になると逆に水中が敵だらけだから、陸に上がってくる。
——なるほど。『イモリくん ヤモリくん』にも怖い敵が出てきますよね。タガメとか。
松岡 タガメね。水生のカメムシも怖いんだ。カメムシは、意外に多くの人が陸の上の生き物だと思っているけど、彼らも水中で繁栄している昆虫の仲間なんですよ。水中に適応できたすごい昆虫だよね。
■「海岸」の楽しみ方
——この水中の絵は、水彩ですか?
松岡 これは水彩です。それと色鉛筆。ここにきて、ようやく水彩と色鉛筆とを自由に使えるようになって。もっと早くそういう絵を描きたいなって思ってたんだけど、それがなかできなくて、以前は油絵で描いていました。そう考えると、ぼくとしては前より数段上達したっていうか
——そうなんですね。
松岡 結局、そういうふうに上達するのが面白くて作家やってるみたいなもので。
——まだまだ成長過程でらっしゃるんですね。
松岡 「人の真似をする楽しさ」っていうのがあるんですよ。人が作ってるのを見ると、「俺も作れるかもしれない」って。工作なんかもそうで、家に流木で作った工作がたくさんあります。それは相当いいレベルにいってるんですよ。
——それは、何を作られるんですか?
松岡 動物とかね、動く仕掛けの入っている動物作って。
——彫刻ということですか?
松岡 彫刻じゃなくて、電動工具バーッと揃えて、それで作ってるんです。流木というのは、ほとんどが枯れてるから、木に「ナマ」のいやらしさがないの。ジュワッとしたようなね。骨みたいになってるから、すごい加工しやすいんです。気持ちいいし。
——なるほど。
松岡 そんな流木が、新潟県の海岸には山のようにあるから。
——海岸に流れ着くんですか?
松岡 そう。前は鎌倉に住んでたから、そしたら流木は「競争」ですよね。
——「競争」というのは、他の人との取り合いということですか?
松岡 うん。みんな持って帰って、街の中のジュエリーショップとか、ウィンドウとかに飾ってる。それから東急ハンズに行くと、小さいのが1本500円とか1000円とかするんですよ。それが新潟ならタダですからね。
——へえ!
松岡 流木だけじゃなくて、海岸には人間が使ったものとかも流れ着きます。そんな所に、突然にチドリの卵がパッとあったりしてね。すごいですよね。海岸っていうのは。
——これは「海岸」をテーマにもう一冊絵本をお願いしたいですね。
松岡 子どもも、海岸がすごい好きですよ。5歳か6歳位の子どもを連れていくと、いろんなものが落っこちているから喜びます。このボールペンまだ使えるなとか、韓国から流れてきたやつだとか。ほんとにね、人間の生活そのものが見られるんだよね。それと、生物は進化が止まってるわけじゃなくて、脈々と続いているわけです。海から陸上の生物になろうとしているやつらが、様子をうかがっている感じがするのが海岸です。
——様子をうかがう?
松岡 海外に打ち上げられたゴミをどかすと、そこからエビの仲間がビュンビュン出てくるんです。それはもう、完璧に海から陸の生物になることを狙ってるんです。ダンゴムシとかもエビに近い仲間ですから。ちょっとでかいグソクムシなんかは海の中から上がれないけど、ちっちゃいやつは全部上がれる。貝もちっちゃなイワフジツボも半分くらい陸の生活してるし。カタツムリの仲間は全部それが成功したやつですよね。彼らももともと海ですからね。
——カタツムリも貝だったんですね。
松岡 それで最後に「こんな家いらないや」って言ったのがナメクジですからね。子どもを連れて海岸に行くと、いろんなことを教えてあげられる。
——なるほど。ぼくも教えてほしいですね。
松岡 とても面白いですよ。オスプレイなんかもいたりしてね。
——「オスプレイ」って、あの飛行機のことですか?
松岡 オスプレイは鳥です。「ミサゴ」っていう鳥の英名がオスプレイですから。
——そうなんですね!
松岡 それが、魚を獲るときにフーって浮上するから。
——それで飛行機に「オスプレイ」っていう名前つけたんですね。初めて知りました。
■フィールドワークの旅
——ちょっと話を戻すと、「真似する対象の絵」というのは、どういうところで見つけられるんですか
松岡 やっぱり本が多いですね。絵本作家のものよりも、絵画作品とか多い。それと、民族的な絵が好きですね。インディアンが描いたものとか。伝わるものがあるんですよ。純粋に表現しようとして描いてるでしょ。評価を求めないで。そういうのがすごく好きですね。
——そういうのも本で探されるんですか?
松岡 本とか、旅行に行ったり。
——旅行はどちらへ行かれるんですか?
松岡 いろいろ行きますけど、去年の冬はニュージーランドに行って、ニュージーランドでアホウドリとかペンギンとか見てたんです。そこに、最初に入った移民者の博物館みたいなのがあって、そこでアホウドリを食料にしていた生活なんか見たりしました。
——アホウドリを食べていたんですね。
松岡 そうですね。あれは捕まえやすいから。人間にすぐ捕まるから「アホウ」ドリなんです。でかいからすぐ飛べないんですよ。滑走路が必要なんです。だからちょっと傾斜のある草原なんかに住んでて、下に向かって走るんです。
——よく絶滅しなかったですね。逆に。
松岡 やっぱりこのままじゃいけないってことで保護したんです。日本でも今保護してるでしょ。鳥島とか小笠原とか。
——ニュージーランドにはカモメもいるんですか?
松岡 カモメもめちゃくちゃいる。カモメでびっくりするのは、メキシコにはカモメの料理があるんですよ。ちょっと小型のカモメですけど、レストランの脇にいくとね、カモメの羽がワーッとあって。カモメスープにして。
——それも、実際行かれて食べられたんですか?
松岡 行って見てはきたけど、僕は食べなかった。食べたくない。臆病だから。気持ち悪いのはいやだね。蜂の子ぐらいなら食べるけど。
■新しい技法への挑戦
——画材なんかは、どうやって探されるんですか?
松岡 普通に画材屋さんに行ったり。文房具の新しいのって面白いですね。今、小学生が運動着に名前書く「なまえペン」っていうのがあって、それが並んでいると全部僕が買い占めちゃうの。あっという間に乾いて、これはすごいと思う。あんなのなかったよね。
——何がいいんですか?
松岡 運動着なんかに描くやつだから、どんな場所にも描ける。それも散らないで、パッと描けるわけです。しかもあっという間に乾くし。それは、画材としてすごくいいよね。完全防水だし。優れてますよ。
——『イモリくん ヤモリくん』の制作期間は、どのくらいだったんですか?
松岡 この本の場合は、3ヶ月くらい。
——速いですね!
松岡 それも、他の本と平行してやってるから。レギュラーで月刊誌とか季刊誌もやったりするので。
——すごい仕事量ですね。
松岡 僕の場合、お酒飲むとかあんまり好きじゃないんで。そういう人と語らってる時間はもったいないんで、遊んでるか、絵を描いてるかです。
——作中に出てくるこの猫も、魅力的です。
松岡 特に意識して描いているわけではないですよ。飼ってもいないしね。今日(授賞式のあった日)はね、受賞の選考委員の方が「相当作戦をいろいろ考えてこの絵本作られてるんですか」って言っていたけど、僕の中ではほとんど考えてないです。
■松岡先生の子どもの頃
——先生は、子どもの頃から動物とか昆虫がお好きだったんですか?
松岡 好きだった。やっぱり喧嘩か何かしていじめられたりしても、日が当たってる土の道にアリンコが歩いてるだけで、全く気分変わってきたよね。それでやっぱり、その周りの自然に興味あったんだよね。花なんかあると、パっと採って、母親に見せて「きれいでしょ」とかね。そういうことをしょっちゅうやってたんですね。生きてるユリが生えてて、これ見せなくちゃってパッと採ったら、母親に「もっと茎を長く採らないと」って。それとか遠足に行って春だと、ショウジョウバカマとか結構咲いてるんで、それを親に見せたいと思うわけですよ。「こんなきれいなのあった」って。
—— 絵もお好きだったのでしょうか?
松岡 絵はね、自分の欲しいものを見てきて表現するのが好きで。それで、いつか親が買ってくれるかと思って、新聞の余白に自転車描いたりグローブ描いたりしていた。そうしたら、親はチラチラって見るけど、なかなか買ってくれなかったから、ひたすら描いていた。
——そうなんですね。
松岡 あと小学校の先生がめちゃくちゃ褒めてくれて。子どもはね、褒められれば「しなさい」って言われるよりずっとやりますよね。しかもその先生は、誰も彼も褒めるわけじゃなくて、僕に対してだけ褒めてくれた。
——だったらなおさらやりますね。
松岡 子どものとき、学校の近くに東部電力のヘリコプターが飛んできて、初めて見るもんだったから「すごい!」と思って、近くで見るために教室飛び出していったんだ。そうしたら、クラスの全員が来ると思ったのに、行ったのは僕だけだった。これはすごいショックだった。
——好奇心が旺盛だったんですね。
松岡 それでも、午後の授業でそのヘリコプターの絵を描いていたら、先生が何も言わなかった。その意味では、ぼくのことを認めてくれていたのかな。
——それで今回の作品にもヘリコプターがあるんですか?
松岡 まあ、そうでもないけどね(笑)。
■『イモリくん ヤモリくん』の制作裏話
——『イモリくん ヤモリくん』は、字の配置も面白いですよね。台詞もユニークで。これは、最初からこういう字を配置しようってお考えだったんですか?
松岡 ぼくはもともとデザイナーなんですよ。だから、描いてて自然とレイアウトしちゃう。それもひとつの特徴ですね。全体のバランスを考えてね。
——(ここで編集者の石川さんに話を聞く)石川さんとしては、この作品はどういう作り方をしたのですか?
岩崎書店編集部の石川雄一
石川 僕はもう、このお話を先生からいただけた時は嬉しくて。しかも、ラフができたのが先生とお話してから1週間くらいでしたよ。びっくりしました。
——やっぱり速いですね。
石川 こんな短時間でサムネイル引けちゃうんだって、びっくりしましたね。で、最初は40ページくらいの案だったんですけど、それの後32ページに直していただきました。
——完成原稿を受け取ったときは?
石川 原画をいただいたのは、長岡の展覧会ででした。新幹線でだいじに抱えて持って帰ったんですが、僕は正直「もらった!」って感じで。先生がまた新しい表現をなすっていた。僕はずっと先生の作品は見てきてるつもりですので、初期のちょっとデザイン的な頃や、『冒険図鑑』の頃や、その時々でいろんな画風で描き分けられてきました。そんな中、また新しいのをいただけたと。
——松岡先生は、常に挑戦されているんですね。
石川 そこが先生のすごいところだなと。常に現役の一線でご活躍されている要因も、そこにあるじゃないかなと僕は思ってますね。子どもたちの服装とかにしても、先生の絵にはその時代時代の子どもの服装がちゃんと反映されているんです。
松岡 ぼくの周りにも子どもたちがいるからね。
——それでいうと、街の風景も現代的ですよね。
松岡 僕、逆に昔の風景描けっていわれたらすごい硬くなって描けない。茅葺屋根とかね。そういうの嫌なんです。
■長岡に住む理由
——先生は、長岡にお住みになってどれくらいなんですか?
松岡 子どもの頃に住んでいたけど、その後横浜に出たりして、戻ったのは5年くらい前。
——どうしてまた長岡に?
松岡 その前は鎌倉に住んでたんだけど、照葉樹林が主で中が暗くて、しかも人間臭い森が嫌いになった。
——それで長岡に引っ越そうと?
松岡 やっぱり自分の故郷ですし、子どもの頃毎日昆虫採集に行ってたところにまた行きたいって思って。
——戻って、子どもの頃と変わりはなかったですか?
松岡 景色は同じでも、ぼくの中の知識が増えたので、子どもの頃はよく分からなかったことが、今はこういう訳だったんだっていうのが分かるんです。
——『イモリくん ヤモリくん』に出てくるこの池も、モデルとなる池があるんですよね?
松岡 その池はすごくいい池でね。思い入れのある池です。一晩明かして取材したりすると、夜中の4時ぐらいまで蛙の声で眠れないの。ツチガエルっていうのがいて。
——鳥もいるんですね。
松岡 この本に描いているのは、カイツブリ。カイツブリはね、井の頭の動物園にもいる。水槽の中に潜って。でかい足して。かわいいよね。
——その池に行くと、何をしているんですか?
松岡 ただジーッと見てるんですよ。例えばヒルがヒューと泳いでいたら、それをずっと見ている。ヒルなんかすごいきれいですよ、泳ぎ方が。
——へえ! 見たことないです。
松岡 サインカーブでね。こう上下にゆらゆらと。感動するよね。
——そうなんですね。
松岡 そこで子どもにキャンプさせると、人生変わりますよ。
——なるほど。今の子どもでもできますか?
松岡 本来子どもは、水に憧れてるから。
——そうなんですか?
松岡 小学校の4年生くらいの1クラスを水場に連れて来たら、気付くと半数くらい靴脱いで池に入ってますからね。
——へえ!
松岡 昔を思い出すんだろうね。お母さんのお腹にいた頃。
——お母さんのお腹にいた頃ですか?
松岡 魚と変わんないからね、人間も。
いかがでしたでしょうか。
松岡先生が、いまだに新しい挑戦をなさり、さらにフィールドワークをとても大切にされているというお話がとても印象的でした。
そんな先生が描かれた『イモリくん ヤモリくん』、全国の書店で絶賛発売中です。
- 作者: 松岡達英
- 出版社/メーカー: 岩崎書店
- 発売日: 2016/01/27
- メディア: 大型本
- この商品を含むブログを見る
みなさまも、もしよろしければお近くの書店でお手にとっていただき、松岡先生が描くリアルな自然と、すっ飛んだお話とをお楽しみいただければと思います!
第22回日本絵本賞表彰式にて