素潜りの水中光線色!? ユニークな500色の色えんぴつをイラストレーターが使ってみた 前編
こんにちは。岩崎書店のブログ管理人の大塚です。
いきなりですがみなさんはこちらの色を思い浮かべることはできるでしょうか?
森のビール祭りの歌声色
素足でたたずむテラコッタのテラス色
まっさらな郵便配達の自転車の色
う……歌声色!? テラコッタ……!?
初めて聞く言葉ばかりですが、なんだかとてもロマンチック。
実はこちらはフェリシモさんから発売されている「500色の色えんぴつ TOKYO SEEDS」の色名です。そう、このような変わった名前の色えんぴつが500本もあるんです!
なぜこのようなユニークな色名をつけたのかすごく気になる……ということで、今回は500色の色えんぴつの秘密を探るべく、株式会社フェリシモの広報担当石井様にお会いしてきました。
そして今回は特別にイラストレーターのくぼあやこさんにもお越しいただき、色えんぴつのプロフェッショナル同士の「色えんぴつ対談」を前後編の2本立てでお送りします。
後編ではくぼさんの描き下ろしイラストも公開しますのでご期待ください!
それでは早速ご覧ください。
「500色の色えんぴつ TOKYO SEEDS」はフェリシモさんのオリジナル商品です。注文すると毎月20本が手元に届き、25ヵ月かけて500色を揃えていきます。第一世代が1992年に発売されてからこれまでに世界55ヵ国で販売。今年の2月に大幅リニューアルされた第四世代が発売。毎月テーマごとに送られる色えんぴつは四角のフォルムと太い芯が特徴的です。月々2600円+税でお申し込み受付中。
より詳しい製品情報はこちらをご覧ください↓
はじまりは「鯉のぼりの泳ぐ空」色?
大塚(以下大)「500色の色えんぴつ TOKYO SEEDS」のユニークな色名に惹かれてここまで来てしまいました! 例えば 「JOLLY GRAND あなたに出会えて本当うれしい! っていう色」に関しては、もう文章ですよね!?
フェリシモ広報の石井さん(以下石) 確かにそうですね(笑)。現在500色の色えんぴつは第四世代を販売していますが、最初のシリーズである第一世代からこのようなユニークな名前をつけています。
はじまりは、社長の「鯉のぼりの泳ぐ空、みたいな感じで名前が全部違ったらおもしろいやん」という発言でした。
大 面白い社長さんですね!
石 しかも第一世代は500色の色名を弊社社員4人で考えたんですよ。
株式会社フェリシモ広報担当 石井陽子様
イラストレーターくぼさん(以下く) えー! たったの4人ですか?
石 単純に計算すればひとり250色! 辞書を見たり、他部署の人にもアイデアをもらったり、想像力をフル回転させたそうです。恐らく文房具メーカーさんだったらこんな色の付け方はしないですよね(笑)
今回の第四世代は英語名がついていて、ネイティブのデザイナーと弊社の社員で色名を決めていきました。最初に英語名をつけてそれを日本語に意訳していくという流れですね。例えば英語名は「SPORTS DRINK」ですが和名は「ビタミンたっぷりのスポーツドリンク色」。ビタミンと付くと黄色っぽいのかななどイメージが膨らみますよね。
生活用品も取り扱っているフェリシモさんだけあって色名も生活のいろいろな場面が切り取られています。
他にも沢山ロマンチックな色の数々が!
SKY DIVE 初体験! 晴れた空のダイビング色
MISS MANICURE デート前夜のつめの色
TUSCAN LANDSCAPE 着陸前の飛行機から見えるトスカーナの丘の色
く どんどん読み進めちゃいますね。
石 和名はストーリーをのせて、英名はネイティブの方でもわかるようにして世界にお届けしています。
大 実際に海外でも購入できるんですか?
石 はい。フェリシモのグローバルサイトがあるので、そちらからお申し込みいただけます。
テーマごとに毎月20本、25ヶ月かけて500本集めていきます。
世界一の色数で作ったら楽しいやん!
今年の2月に発売された第四世代。2015年に創業50周年という節目を迎え、フェリシモさんにとって象徴的な製品である「500色の色えんぴつ」が大幅リニューアルされました。みなさまの手に届くまで2年の製作期間を要したこだわりの品です。
刻印されている英語の色名の日本語名を記した情報カードと、色をぬって楽しめるペーパークラフトも一緒に届きます。
大 500色の色えんぴつは世界一の色数ということで、思い切った数だと思います! 作り始めたきっかけを教えてください。
石 先ほどもお伝えしたように、今発売しているものは第四世代で、第一世代が発売されたのは1992年です。夢があり誰が見ても「わー、すごーい!」「こんなのほしい!」と思ってもらえる製品を作りたいという気持ちがありました。
そこで社長が「世界一の色数の色えんぴつを作ったら楽しいやん」と一言(笑)。マーケットニーズはあるのかわからないけど、とにかく作ってみようという話になりました。
大 !!!(社長さんやはりユニークな方だ……。)
く それが今から25年前、結構さかのぼりますね。
(左)株式会社フェリシモ広報担当石井陽子様 (右)イラストレーター くぼあやこ様
石 そうですね。1992年はコロンブスのアメリカ大陸発見500周年だったこともあり500色作ってみようということになりました。
もともとフェリシモは毎月少しずつ届けるという通販のシステムをとっていて、この色えんぴつは集めて楽しむことを象徴する製品になると思いました。発売したときのキャッチコピーは、「世界で初めて集まった地球にある色500色、フェリシモの夢いっぱいの色えんぴつ」
く おぉ! 地球にある色という表現がいいですね。
旧世代の色えんぴつ。第三世代までは、フォルムが丸型です。
職人さんの腕がなる!? 四角いフォルムの色えんぴつ
旧世代から大幅リニューアル。丸いフォルムから四角形のフォルムに変わりました。芯も太くなり、刻印は英語名に。珍しい仕様になっています。
大 くぼさん、試し描きいかがですか?
く 旧世代までと比べて芯が太くなっていますね。
石 そうです。3.5mmの太芯なので、3mmの製品が多い中であまりない太さになっていると思います。
く 四角形というのも珍しいし可愛い! 持ちやすいですね。
石 ありがとうございます。でもこの形を実現するのは難しくて結構……、結構大変だったんですよ!!!(笑)
大 苦労されたんですね!
石 というのも色えんぴつを作成する機械は従来、全て丸いフォルムに対応した仕様になっています。そのため四角い色えんぴつを作るために職人さんが趣向を凝らして機械を調整してくれています。
大 職人さんの手で絶妙に調整しているんですね。
く それを500色……。大変ですね。
石 製造してもらっている葛飾区と荒川区のえんぴつ製造メーカーの職人さんがすごく楽しそうに「大変だよ、ほんとにこれは」と仰ってました(笑)。
く 腕がなるぜみたいな(笑)。
石 そうです、そうです。昔は変わっているえんぴつが沢山ありましたよね? すごく太かったり、星型や、カラフルな芯など。そういった物を町の小さなメーカーが小ロットでチャレンジしながら作ることのできた時代がありました。
く そうなんですね。
石 しかし今は海外生産か、大手メーカーさんの専用工場で作られていることが多く、色えんぴつのメーカーは最盛期には140社ほどあったのが現在は4分の1まで減っています。
く なるほど。500色の色えんぴつは昔ながらの町工場で作っているんですね。
石 そうです。ひとつの色えんぴつを作るといっても、色芯の製造、塗装、刻印、木を削るところなど複数社が共同して行っています。お互いに助け合いながらえんぴつ業を守っています。
大 一つの工場さまざまな工程を行っていると思っていました!
石 やはり海外だとオートメーション化されて微調整が難しいです。一方、日本の職人さんはまだおじいさんの代の技術が残っているので、その素晴らしい技術とお客様の間を繋ぐ場所にフェリシモが役に立てるのではないかと思いました。最初は職人の方々も「いやいやそんなのできないよ」と仰っていたのですが、今まさに製品と向き合いながら戦ってくださっています。
今回の500色の色えんぴつの名前は、TOKYO SEEDS(東京の種)。日本の色えんぴつ工場は東京都の葛飾区、荒川区が多く「500色の色えんぴつ TOKYO SEEDS」も東京都内で製造されています。東京の技術の種を世界に広げたいという思いと、色えんぴつの一つ一つの色(種)から様々ものが新たに生み出されるという意味が込められているそうです。
色えんぴつ作りの最初の工程は色芯作り。山梨の日本で唯一といわれる色芯を作るメーカーさんに500色の色芯を出してもらうところからスタートします。
一枚の板に溝をいれ色芯を中に挟み込み、1本1本裁断していきます。東京の下町の複数の工場でこの工程を手分けして行っています。
くぼさんもかわいいと感動した頂点部分。べた塗りにする商品が多いなか、500色の色えんぴつは削っています。町工場で何十年も眠っていた機械を作動させて行っているとのこと。
前編はここまでです。500色の色えんぴつがどうやってできたのか、製造のお話を中心に伺ってきました。
後編はイラストレーターくぼあやこさんの色えんぴつの使い方に迫ります。
・「クレヨンを溶かす」珍しい絵の描き方
・色えんぴつの使い方のコツ
・「素潜りの水中光線色」のイメージから即興でスケッチ
などなど
後編ではくぼあやこさんが実際に色えんぴつを使って絵を描いてくれています。
それでは後編もよろしくお願いします。
後編につづく……
投稿者 大塚芙美恵