不良品じゃないんです! 製本方法が独特な『マンガの歴史1』
こんにちは。岩崎書店のブログ管理人の大塚芙美恵です。
唐突ですが今年の8月に岩崎書店より発売された『マンガの歴史1』を読んでいます。
みなさん何かお気づきでしょうか?
こちらをご覧ください。
(左)マンガの歴史1 (右)一般的な製本の書籍
そうです! 『マンガの歴史1』はページがパカーっと開くんです。手を離してもパタンと本が閉じることなく読むことができます。
この製法は「コデックス装」といって、製本界で今、注目されている製法です。
『マンガの歴史1』は岩崎調べる学習新書のシリーズ第1巻目として発売されました。子どもたちが本を読みながら自発的に「調べる学習を行ってほしい」という思いがこもっています。そのため、本に直接書き込みやすいように、ページがぱかーっと開くコデックス装を採用しました。
ただ……カバーを外し、本の背を見ていていただくと
……。
「あれ? 背表紙はどこに!?」といった声が聞こえてきそうです。
実際に何件か「不良品では……」というご心配の声もいただきました。
もちろん不良品ではなく、「ページパカッと」を実現する上で必要な見た目です。
でも私は思いました……。これどうやって作ってるの?
そこで、今回は実際に製本の様子をみていただこうと思い立ち、『マンガの歴史1』の製本現場をレポートしようと思います。
『マンガの歴史1』ができるまで
今回『マンガの歴史1』を製本してくださったのは、東京都板橋区にある株式会社若林製本工場様です。
若林製本工場様は創業140年というとても由緒ある製本会社で、今まで岩崎書店の本を多数製本してくださっています。
「想いは形になる」これを忘れて物作りはできないと思います。
と語る代表取締役常務の若林佑一さん。
その言葉通りいつも真心込めて製本をしてくださっています。
長いお付き合いとはいえ、普段は工場に伺う機会はあまりなく、今回のご厚意に胸を躍らせながらお邪魔しました。
早速ご案内していただいたのは、こちら!
なんでしょう、この興奮は!
早速、細かく工程を教えてもらいました。
ステップ1 いとかがりを済ませた本をレールに流していく
いとかがりされた状態で、こちらの工場に入荷されます。薄い冊子状になったものがいくつも糸でつながれているんですね。
ステップ2 背表紙にローラーで糊付けをする
均等に適切な量の糊がつけられます。ローラーの上の矢印で示している部分が本です。
ステップ3 糊付けした部分を乾かす
レール上を走りながらすばやくのりを乾かしていきます。まるで溶岩のようですね……。
ステップ4 金属探知機と計量器を通り、異物がまぎれこんでいないかなど調べる
こちらが金属探知機
重さを量ります
安全性をこのように確保するんですね。
そしてこちらの階の作業は全て終了!レールは上の階に続いていきます。
ステップ5 上の階へ運ぶ
オートマチック感がたまらないです。コンパクトな可愛いエレベーターで上の階へ運びます。
ステップ6 2階に到着!本の断裁を行います。
本の側面の三辺をきれいに切り落とします。快感!
ステップ7 人の手によって不良品がないか確認する
今、流行の断面萌え! きれいになりました!
ステップ8 完成!!
その後カバーと帯をかけて完成です!
いかがでしたでしょうか?
コデックス装はこのようないくつものステップを経て、大切に、そして丈夫に作られています。
『マンガの歴史1』を手にとっていただいた際は、是非気持ちのいいページの開きを楽しんでくださいね。
それでは最後までお読みいただきありがとうございました。
投稿者 大塚芙美恵