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秋山翔吾選手(埼玉西武ライオンズ#55)がグラウンド外で行っている野球以外の活動とは?

こんにちは。あつい日が続いていますね!

先日も真夏日を記録して……ってその「暑い」じゃなく、プロ野球の「熱い」戦いが連日繰り広げられています。

今シーズンのプロ野球の開幕は3月末。ペナントレースも開始から早3か月が経ちつつあり、そろそろ「今年は○○が強そう」とか「もう優勝はないな……」など、気が気でない毎日をお送りのファンもいらっしゃることと思います。プロ野球のレギュラーシーズンはおよそ半年なので、各球団ともそろそろ年間試合数のおよそ4割を消化したくらいでしょうか。

セ・パ交流戦も今日から後半戦! ひいきの球団や特定の選手の話題で盛り上がるのもまた一興ではございますが、今回はプロ野球選手のもうひとつの顔に迫ってみました。

意外に多い、プロ野球選手のボランティア活動

日本のプロ野球界では、ボランティア活動をしている選手が少なくありません。そして、その内容も多岐にわたっています。例えば、1軍での登板時に投球数に応じてワクチンを寄付、1年間の盗塁数と同数の車いすを寄贈、1年間の投球回数と同数のランドセルを児童養護施設の子どもに贈呈、などが挙げられます。現役の選手ももちろんいらっしゃいます。さらに、海の向こうのMLB=メジャーリーグでは、日本に比べてボランティアに携わる選手が多く、金額の規模も大きいことは有名な話。

今回取材を行った埼玉西武ライオンズ(以下ライオンズ)の秋山翔吾選手は、ひとり親家庭の親子を球場に招待し、観戦してもらうプロジェクトを行っています。

今シーズンは、ライオンズのホームゲーム開催日のうち年4回・合計約160名の親子をメットライフドームに招待する予定とのことで、筆者は第2回目の5月7日(日)に立ち合わせていただくことができました。

 

秋山翔吾選手の「ひとり親家庭の球場招待イベント」

試合開始時間は13時。「昼から仕事なんてゆっくりでいいな……」と思う方もいるかもしれませんが、そんなことはありません! 選手の集合は9時とのことで、試合前にも入念にコンディションを整えています。一年間戦い抜く選手たちは、試合前のいわゆる「ルーティン」をこなして、その試合ごとにベストを尽くすための準備を行っているのです。

この日は、試合前練習が終了した直後の10時半から11時までの30分の間に、招待された親子を迎えてライオンズの選手たちの練習見学、そして秋山選手とのサイン会と撮影会を行うというスケジュールでした。

5月7日当日、まだ人もまばらな時間帯に球場の周りを見渡すと…ありました!秋山選手(背番号55)の顔写真入りの旗が。

埼玉西武ライオンズ秋山翔吾選手

さらによくよく眺めると、目に入る色のうちピンク色のものが普段よりも多くありました。ピンクリボンが印刷されたのぼりが立っていたり、離れたところには乳がん検診車が停まっていたり。何かあるのでしょうか。

 

そうなのです、この日は翌週14日の母の日に先駆けた1週間早い母の日企画「LIONS HAPPY MOTHER’S DAY」の開催日だったのです。母の日にライオンズは遠征のため、ホームのメットライフドームで試合が行われる直近の日程を選んでいたのですね。主催試合を通じて球団として、母の日にちなんだ啓発活動を行っていました。

球団職員の方にお伺いしたところ、「LIONS HAPPY MOTHER’S DAY」は2014年に開始された企画なのですが、秋山選手による「ひとり親家庭の球場招待」はこの企画にからめて秋山選手ご自身の発案から2015年から始められたとのことです。

 

西武球場前駅に集合後、球団職員の方の引率でメットライフドームへ。

この日招待されたのは、15組32名の母子。早い方は集合の30分以上も前から待ち合わせ場所にいました。期待の高さが伺えます。

球場脇の坂道を上って、バックネット裏側の入り口に到着。通常の観戦では立ち入ることのない場所ということもあり、皆さん(そして筆者も)幾分緊張のご様子。ここで

球団職員の方から参加の親子にこの日の企画の概要や諸注意が伝えられました。
「サインはどれにしてもらう?」「カメラはちゃんと持ってきた?」などと確認しているような親子のしぐさも見られました。

 

埼玉西武ライオンズ秋山翔吾選手

ドーム内に入ると、選手たちはちょうどフリーバッティングを行っていました。

試合が始まればぎっしりと観客が詰めかけ、応援や歓声でにぎやかになる空間ですが、試合前は静寂そのもの。何秒かに一度、小気味良い、乾いた打球音がドーム内にこだましています。

参加している皆さんは、バックネット裏観客席の最前で選手たちの一挙手一投足を見逃すまいと視線を注いでいました。こんな近くで見られるチャンスはめったにありませんからね!

 

埼玉西武ライオンズ秋山翔吾選手

練習が一段落し、アレ? 背番号55の選手がいないぞ……。ということはそろそろかな?

秋山選手が観客席に登場、拍手で迎えられました。

テレビや新聞各紙の取材も入っているようで、撮影クルーや記者が数多く確認できます。秋山選手が球団を、そして球界を代表する選手だということを改めて感じさせられますね。

 

埼玉西武ライオンズ秋山翔吾選手

秋山選手が簡単な自己紹介をした後、さっそくサイン会と握手会が開始…とその前に。親子に手渡されるプレゼントがあるようです!

用意されていたのは…「LIONS HAPPY MOTHER’S DAY」にちなんだピンク色のオリジナルTシャツと絵本。Tシャツはお母さん用で、絵本はお子さま用です。

ええたまいっちょう

もっと寄ってみましょう。
これは岩崎書店から4月末に刊行されたばかりの『ええたま いっちょう!』ですね。

ええたまいっちょう

 

『ええたま いっちょう!』は、ひとり親の母親に育てられた男の子が、警察官とキャッチボールを通じて心の交流をし、自分の夢を見出していく様子を描いた感動作。実は、秋山選手の球場招待のご活動に感銘を受けた小社が、当日お集まりのお子さまに対して夢を後押しするお手伝いができればと、献本させていただいたものだったのです。

 

秋山選手からサインをもらい、記念撮影を終える親子。
緊張しつつも、とてもいい顔をしていましたし、中には感極まって泣き出してしまう女性もいらっしゃいました。

埼玉西武ライオンズ秋山翔吾選手

 

滞りなくサイン会・撮影会も終わり、最後に秋山選手を中心に全員で記念撮影。

皆さんが手でかたどっているのは、ライオンズの「L」の字です。

この日は参加した皆様にとって、絆を深める特別な一日になったに違いありません。

埼玉西武ライオンズ秋山翔吾選手

 

秋山選手に直撃インタビュー

名残惜しい空気も漂いつつ、招待された親子との交流が無事に終わりました。

あとはまったりと観戦……ではなく、何とか秋山選手にこの活動に懸ける意気込みを何としてもお聞きしなければ! プレス専用スペースに引き揚げる秋山選手を追いかけ、筆者も各マスコミの囲み取材に混じってスタンバイ。

秋山選手は普段から試合前・試合後に番記者の取材を受け、顔なじみになっている方も多いのでしょう、先ほどまでとはまた違った、リラックスした表情が見えます。取材を受けている最中には、この日誕生日だった後輩の永江選手が通ったのを見逃さず「永江君、誕生日おめでとう~!」ととっさに声をかける一幕も。こういうの、いいですよね。

埼玉西武ライオンズ秋山翔吾選手

 

5分ほどお待ちし、予定時間の11時をすぎてしまったのですが…何とか2問だけインタビューに応じていただけるとのこと、とてもありがたいご配慮をいただきました。

 

──  2015年から「ひとり親家庭の親子」を主催試合に招待する活動をなさっています。どのような思いではじめようと思ったのでしょうか?

 

僕自身もひとり親ということで、母親の力をすごく借りて生きてきたところがあって、そのおかげで野球選手になることができていたのですが、なかなか自分も親に貢献する活動ができていなかったので、試合に招待するという形をとって同じ境遇の人たちに楽しんでもらえる場をつくれたらいいと思っています。

 

──  試合を観戦してくださるお子さまに、「これだけはお伝えしたい」という熱いメッセージがありましたら教えてください!

 

特別、野球を見て何かを感じてほしいなんてことは、そこまで恩着せがまいことはないです。ただ、親子で時間を共有する機会の一つとして、その中で僕が活躍できればいい思い出になってくれると思うし、僕自身もやってよかったと思う。

色々な人の支えを受けてやっていく中ですけれど、そういう時間をより家庭の中で楽しむ時間として捉えてもらえるように、いい思い出になるように僕自身も頑張りたいなと思います。

 

──  試合前の大変貴重なお時間に取材に応じてくださり、誠にありがとうございました。

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取材後、「ピンクのTシャツもお似合いですね!」と声をかけると、「ほとんどいわれたことないですね」といいながら、笑みを浮かべていらっしゃいました。

 

球場に招待した親子との交流の時間に加え、マスコミの取材、さらには筆者のインタビューにも快く対応してくださった秋山選手。試合前の本当に貴重な時間を割いてくださったことに感謝です。同時に、高い水準でプレーを継続するために普段から人一倍の努力をなさっているのに加え、ひとり親家庭の親子のための活動も行っている姿に心から畏敬の念を抱きました。

 

取材を終えて

この後、13時からの東北楽天ゴールデンイーグルスとの6回戦で、秋山選手は不動の1番打者としてスタメン出場。試合前、ビジョンにはスターティングオーダーに続いて選手のコメントが流れるのですが、ここでも母の日のメッセージとしてお母さまへの感謝の気持ちが述べられていました。

埼玉西武ライオンズ秋山翔吾選手

 

試合では第2打席で目の覚めるようなセンター前ヒットを放ち、多くのファンの拍手を受けていました。惜しくも2-3で負けてしまいましたが、本職でしっかりと結果を残した秋山選手の姿はイベントに参加した親子の目にしっかりと焼きつき、かけがえのない時間となったのはまちがいありません。

埼玉西武ライオンズ秋山翔吾選手

 

野球のプレーだけでなく、子どもたちに夢と希望を与える仕事人。今後の秋山選手のグラウンド内外での活動に要注目です。

さらなるご活躍を心からお祈りいたします!!

秋山翔吾(あきやましょうご)選手
1988年4月16日生(神奈川県横須賀市)右投左打、外野手(おもに中堅手)。
2010年ドラフト会議で指名を受け入団。入団7年目の外野手。2015年にシーズン歴代最多安打記録(216本)を樹立。今年行われた第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では日本代表として選出、出場4試合で打率.300を記録。
小学6年時に実父を病気で亡くし、自身がひとり親家庭だったことから、2015年より「ひとり親家庭の親子」を主催試合に招待。試合前には親子と握手や記念撮影を行う。内閣府「子供の貧困対策 子供の未来応援プロジェクト」(2015)にもメッセージ寄稿の形で参加している。

 

ええたま いっちょう! (えほんのぼうけん)

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投稿者 gimro